今回ご紹介する本は、
志るべ2022年9月号
です。
中村天風財団の機関誌になります。
口絵 中村天風書
「つとめてもつとめてもなほつとめてもつとめたらぬはつとめなりけり」
吾等の誓
【天風箴言六】現代語表記版
正しい愛情とはお互ひが活きて此世に存在して居るという厳粛なる事実を衷心から尊敬し合うことから湧いて来る
天風教義のイデオロギーは、この世に活きる人々がほんとうに幸福に活きられるような、もっと明るい世界をつくろうということを、最も大切な重点としている。
天風教義たる統一道 (心身統一法)の組織内容の中には、その手段や条件を現実に解決するために必要とする、各種の方法と理解に対する重要な本質というものがある…。
その本質の中で、ほんとうの明るい人の世の世界というものを現実に作り上げるのには、お互い人間同士が、もっともっと正しい愛情で愛し合わねばならない…。
『哲人哲語』という私のエッセイを載録した著書に、「愛の情ということに就いて」という題目で説明してある…。
正しい愛情というものは、「お互い人間が、こうして此世に活きて在存している」という犯すことのできない事実を、もっともっと真剣に、厳粛に考えて、そして心の底からその生命の存在を慎ましやかに尊敬し合わない限りは、人間の心の中から到底生まれてこないというのが、人間の心理現象における厳しい宇宙真理なのである。
ほんとうに愛するという気持ち=正しい愛情というものは、活きているいのちに対する尊敬という気持ちがこれに対応するバロメータとなるものなのである。
だから、こうして呼吸し、飲食し、排泄し、 そしてものを言い、互いにその心を感じ理解し、更にこうして生命が働いている、即ち活きているという大事実を、心の底から尊敬するという敬虔(けいけん)な気持ちにならないと、所詮、正しい愛情というものは心の中から湧き出てこないのである。
たとえ愛の心が宇宙根本主体=宇宙霊=神仏の心であると十分に分かっていても、活きているいのちに対する尊敬という気持ちが徹底しないと、「愛」という尊厳なる心情が現れてこないのである。
いのち!とは、こうして活きている現実の状態に名付けられた名称である。 言い換えれば、不滅のエネルギーが人間から人間へ=はっきりいえば親から子へ、子から孫へと、その生殖細胞に代々伝えられ、そしてそれが現象界で現実に活動している状態を指して言うのである。
凡庸の人というものは、飲食し、排泄し、呼吸をしていさえすれば、いのちというものが活きていられるのは当然と思っているらしい。
そして、呼吸し、飲食し、排泄していればいのちが活動するというのが、実に不思議だとはほんの少しも考えないらしい。
しかし、何といってもいのちが活きているのは、実に不思議なのである!
万物の霊長という、絶賛に値する自然的存在であると同時に絶対的な資格を与えられていることを思うとき、より一層の敬虔さを感じないではいられない!!
天風哲学が、「人間は自然としての存在から、その価値を現実に発揮するために懸命に努力しなければならない。それが宇宙本来の意図に順応する真の創造であると同時に、それが又人間がこの世に万物の霊長として生まれて為さなければならない大使命である」と終始一貫して主張する…。
正しい愛情の持ち主となって、明るい世界の現実建設を、人生最大の念願としましょう!!
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愛情というのをここまで深く理解し、相手のことを想っている人はいるでしょうか?
生きている、存在しているということそのものが奇跡ということです。もしかしたら、他の動物に生まれていたかもしれませんし、宇宙に漂う小惑星として存在していたかもしれません。
人間として、この地球に生を授かったことにもっともっと感謝しないといけませんね。
そういう気持ちになれば、小さいことにくよくよすることもなくなります。
相手に対しては愛情を持って接して行きましょう。
中村天風真理瞑想集 (夏期修練会編) 第十回
「恐怖観念撃退の誦句」
中村天風
健康はもちろん、運命その他、人生に生じた一切の出来事に対して、いかなる場合にも、これを恐怖観念で考えたり、 または恐怖観念で応接しないようにすること。これが一番、人生を価値高く生きようとする者の、何においても戒めなければならない大事なこと。
因果律の法則は、事実に同情しない。
宇宙の大生命は、心理に同情はしない。ただ、我々の人間の心で思ったり考えたりしたことを鋳型(いがた)として、その思ったり考えたりした事柄の中で特に観念が集中されたことが、最も手っ取り早く現実の形に共鳴してくるという、ナチュラル・テンデン シー(註・自然傾向)があるからだ。
恐怖観念が人間の心に発動すると、精神統一の下手な人間でも、おっかねえなと思う感情が発動したときは、 その本人は気がついていないかもしれないが、恐怖の程度が深ければ深いほど、そのとき、その精神状態は、そのおっかないと思うことに精神が統一してしまっている。
回復のはかばかしくない病人や、どうしても運命が思うとおりによくならない人をジイッと見てごらん。 その心に思われていること、考えている事柄すべて消極的で、そして少しのことにもビクビク、ビクビク恐怖している状態が、ほとんど共通的であります。だから、どうしたって、消極的な精神状態が、その人生のすべての事物の上に影響せずにはいないわけだ。つまり、より一層の不幸や、より一層の不健康を招いて、その人の運命や体をますます気の毒な状態にしてしまう。
しかし、よく考えてみると、そういう気の毒な状態に自分がしているんだ、気がつかないで。
心のできている人や心のしっかりしている人は、自分の人生を常に積極的に断定しているから、めったやたらと人の言葉で迷いやしない。よしんば、仮に健康を損じたときでも、また、 不運に直面したときでも、その心の中で、そのことを恐怖で考えない。
どんな場合にでも、もう少し恐怖から離れた気持ち、心持ちで物事を考えるという癖をつけてごらん。 人生、事業に対しても、失敗するやつは、失敗することのみを恐怖している。そんなような人間が、偉大な、人の世のためになるような事業なんかとてもできやしない。
大事なことは、 どんなことに対しても、自己の心の思い方、考え方を恐怖から引き離して行うこと。 恐怖の中に引き入れちゃい けない。
いかなる場合にも、宇宙霊と人間との関係を強く信じて生きていけばいいんだ。
宇宙霊と人間との関係を強く信念すると、人間は、弱いほうからのみ考えるという考え方は消えていくんだよ。一所懸命強い方面から考え直そうと思わなくてもよろしい。 宇宙霊と人間との関係を強く信じさえすればいいんだ。すると、人生に対する恐怖念が、ザーッとどんなに減っちまうかわからない。
できるだけ神経過敏でない、断固たる信念を持つ人と交際しないとだめなわけです。
仮に、何か消極的な不健全な恐怖観念が発生したような場合があっても、積極的な考え方で、これを断ち切ってしまう。積極的な考え方の中には、絶対に消極的な考え方が同居しないことになっている。
常に自分の思い方、考え方を、できるだけ積極的にする習慣をつけなければだめだよ。習慣は第二の天性。
ちょっと病にかかったとか、何かの運命のつまずきに遭ったとき、できている人と、できていない人は、そのときにわかる。そういうできごとは、どんな人間にでもしょっちゅうあるんだ。 そのあったときの自分の心の態度がどうだったか、ということを考えてごらん。
だから、自分がゆっくりと余裕のある心の持ち主になれるように、忘れてはならない大事な誦句を与える。
恐怖観念撃退の誦句
人の心霊が宇宙の神霊と一致する時、人の生命の力は驚嘆に値いする強さをもつに至る。しかもこの尊厳なる宇宙の神霊と一致するには、第一に必要な事は心の安定を失うてはならぬことである。
そして心の安定を失うことの中で、一番戒(いまし)むべきものは恐怖観念である。そもこの恐怖なるものこそは、価値なき消極的の考え方で描いて居るシミだらけな醜い一つの絵のようなものだ。否 寸法違いで書いた設計である。 かるが故に、今日から私は断然私の背後に、私を守り給う宇宙霊の力のあることを信じて、何事をも怖れまい。
否 人が常にかくあることを心がくるならば、必然 人生に恐怖に値するものが無くなるからである。 故に健康は勿論 運命の阻まりし時と雖(いえど)も、本当に私は私の背後に、私を守り給う宇宙霊の力のあることを信じて、 何事をも怖れまい。
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病や運命に対して恐れたり、怯えたりしてしまうことは、少なからずあります。特に天風会に入る前は酷いものでした。
まだ今でも恐怖に感じてしまうことはありますが、その頻度は減りました。いつまでもネチネチと思い煩うことは、良くないことだと知り、なるべく早く切り替えるように努力しています。
恐怖の方が圧倒的にインパクトが大きいですから、すぐに潜在意識の中に入ってしまいます。
それを追い出すためにも、この誦句を事あることに自分自身に言い聞かせましょう。
「心身統一法実践への手引き~Q&H」
学びを深める講話シリーズ 第十一回
國分博継講師・松本光正講師
今回は、二〇一九年、東京の夏期修練会で催されたプログラム【Q&H(質問とヒント)】の内容をお伝えします。
暗示の言葉というのは、これがいいということではなくて、ご自分で決められればそれでいいのですが、大事なことは、積極的な精神状態を暗示するということです。決して結果を暗示しないことです。結果は暗示できないんです。 潜在意識は判断をしませんから、結果を暗示しても、その通りにならないんですね。
「おまえ信念強くなる!」が最良、最高の暗示だと思います。
「誦句と瞑想」
天の声が聞こえる状態は無我無念の境涯、つまり三昧境ですが、三昧境に入れば一切の感覚を滅断していますから、この状態で「誦句と瞑想」は聞くことはできません。三昧境そのものは、天風先生は、自分がふっと雲と一体になっているような感覚と仰っています。
霊魂というのは真我ですが、これは感じるという機能はありません。感じているのはあくまでも心です。
霊魂というのは、自分を生かしている大宇宙の働きそのものなんです。いわゆる生命そのものです。
確かにクンバハカというのは、息を吸ってそこで一瞬止めた状態を言うのですが、 次に息を吐くことになります。言うならば、息を吸って一瞬止めいている状態が絶対クンバハカで、吐いた状態のときは相対的クンバハカでいいんじゃないか…。
天風哲学が標榜する世界は、宇宙の完全な平和が実現された状態です。しかし私たちが今歩いているのは、そこへ行こうとする道です。
いかに周りの人への利他行を進めながら、自己の純粋積極を貫いていくかということが大切です。
自己の心の中の哲学は強く信念化できているが、表面では相手に合わせる柔軟性があってもいいと思います。消極に流されてしまわないことです。
私は天風哲学は正しいと肝に銘ずる、これしかないと思います。
これは絶対正しいものだと信念化させることが、大切だと思います。
立て直しは心の切り替えを素早くすることです。
一番あがらないコツは、大丈夫だ、大丈夫だと思うこと…。
大丈夫だと思えるように、人前で話す内容につ いて、自分がよく消化して、喋る内容も原稿を見ないで全部話せるようにしておくと、上がらないんじゃないか…。
登校中の児童の列に車が突っ込んで子供が亡くなったりとか、実際にそういう事故がありますが、子供に罪はないんじゃないかと。因果律から考えると、いったい子供にどんな原因があるんだと、こういうことをお聞きになりたいのだろうなと思いますが、これは仏教などでいう、親の因果が子に報いというような、いわゆるカルマ思想とは違います。
そこを子供達が歩いていた(原因)、車が来てぶっ かった(結果)です。良い悪いの問題ではありません。
潜勢力というのは、人間が生まれながらに持っている力です。天風先生はこれをわかりやすく、六つに分類されて、体力、胆力、判断力、断行力、精力、能力ですね、また医学的に言えば自然治癒力ですね、これも体力に入ってきますけれど、そういうものが潜勢力です。霊性というのは、人間の心で働く本質的な実在である真我の持つ属性なんですね
霊性が人の心に働いた結果を、日本人は昔から真心と言うとか、そういうところで現れてくると思 います。詳しくは『研心抄』にこのことがよく書いてあ ると思います…。
霊性の発現は…、これは人間の本心が発現しているときです。ですからそれが社会の中で行動として発現すると、良心という言葉で表されますね。
激しい恐怖感情などでは、自律神経系統の異常反射で肛門や尿道の筋肉が緩み失禁します。締める行為を行うことで、骨盤内を走る自律神経系(=副交感神経)を正しく刺激して、交感神経亢進状態を緩和していると理解しています。
心身統一法の勉強を深められることだと私は思います。 深く極めようとすればするほど、壁などにぶつかっていられません。
毎年毎年何か違いがわかるし、やればやるほど、あっ、そうかこういうことだったのかと、 わかってくるわけです。
家族の理解を得る方法というのは、自分が一生懸命心身統一法を実践してですね、さすがに天風会員だなと思われるようになる、これしかないんじゃないかなと思います。私は最近思うんですけども、統一道のことをくどくどと説明するんじゃなくて、自分がもう感謝、感謝でね、アハハといつも明るく笑って颯爽としている、そういう態度を示しているということが一番いいんじゃないかなというふうに思います。
心で風邪を恐れないというのが一番ですね。風邪を引いたらどうしよう、 風邪を引いたらどうしようと思う心が暗示になって風邪を呼ぶのですから、私は風邪は引かないことにしていると、そういうふうに思うのがいいと思います。
早く治すにはどうしたらいいかというと、そこはクンバハカをしながら、アハハと笑ってるということじゃないでしょうか? 病は忘れることで自然治癒力が大いに発揮されて治ります。
「情味」…、とてもいい響きを持っていて、本当の心の豊かさを醸し出すような、しっとりとした雰囲気の言葉…。
「飄々(ひょうひょう)とした人」…、「社会的基準を逸脱せずに、それでいて自由に生きている」「周りの目を気にせずに堂々と振る舞う」といったようにポジティブな意味合いのイメージのようです。 要するに拘(こだわ)りがないというような感じですね。
宇宙霊はあらゆる存在に公平なのです。人だけではありません。「太陽は美人の顔も犬の糞も照らし出す」と天風先生は言われています。
もう何か起こるのが人生ですからね、あれこれ、あれこれと策をめぐらせないで、「なるようになる。大丈夫、大丈夫」というふうに思う。これがやっぱり一番いい…。
安定打坐をすればよいのです。間違わないことは、心身統一法は、問題解決ノウハウではないということです。自分の全人格の変革を目指しているのです。天風先生もただの修養法ではないと言われています。安定打坐は、結果の一つとして素晴らしいインスピレーションが湧く奇跡的な働きがあるのですが、貴方の頭の中に無い答えが神の啓示のように現れてくるのではありません。
安定打坐を折りに触れやっていると、心が常に静まり、妄雑念が整理され、人間の持つ素晴らしい連想力が働き、ある時、それはまるで天啓のように急に素晴らしいアイデアを思いつくのです。でも自分の心に無いものは出てきません。
本来あなたが遠い過去に記憶していた要素で、それを忘れていただけで、そのインスピレーションの内容は、 既にあなたが持っていたものです。安定打坐がその煥発を助けてくれたのです。折に触れ安定打坐をされることをお勧めします。
行修という考え方はないと思うんですよね。
歩いていても何をしていてもクンバハカができるし、 プラナヤマもできます。言葉も注意できるし、いつもアハハと笑うこともできるし、感謝もできます。だから生活の行事として行うというふうに捉えるのがよいと思います。
しいて具体的にあげれば、朝は戸外で朝礼、体操。水かぶり、箴言註釈の一説を読む。その後はメニューなし。 天風道に沿った日常生活を心がける。感謝して就寝。
朝目を開けたらすぐ「俺は積極人間になった!」と断定暗示をします。
ストレッチ運動、準備運動後朝礼 、呼吸操練、統一式運動法、積極体操…。
折に触れ安定打坐そして就寝時、連想暗示と命令暗示です。
心身統一道の長い道のりも、深く悟ることを目標にされると同時に、日常での具体的な実践から始まります。
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このQ&Aではなく、Q&Hのコーナーは自分と同じような疑問を抱いている人が、代わりに質問してくれているので、とても興味深いです。
答えではなく、ヒントを言ってくれているところがミソですね。そもそも明確な答えは天風先生しか知らないのかもしれませんが。
「信念」という言葉一つ取っても、世間一般的な意味合いとは少し違うのかなと感じていました。
潜勢力や霊性といった難しい言葉も分かりやすく解説してくれています。更に詳しく勉強されたい方は、こちらの『研心抄』を参考にしてください。
『研心抄』/中村天風
令和4年度 夏期修練会・神戸会場報告
神戸の会 田中一行
テーマは「いのち輝く歓び~感謝で活きる」。
「予期せぬ様々な出来事が起ころうとも、私たちのいのちは輝いている!今こそ感謝で活きる時、 価値高く活きよう! さあご一緒に待ちわびた修練会」
「歯を食いしばって頑張るのではなく修練会を楽しむ」 「今回の修練会で出会えたご縁を大切にする」…。
「誦句と瞑想」
「書籍やオンラインでは実感できなかった養動法や安定打坐法が、今回少しわかった」と…。
運動法実習(リアルのみ)
実験・精神能力の開発(リアルのみ)
「今どんな状況にあろうとも、自分のいのちに歓びを味わわせて活きる」ことへの気づきを頂戴しました。
参加者感想文
マスク着用、手洗い励行、三密回避をする前に、第一に心を積極的に保つことで自然良能力が高められ、 予防が出来るという事でした。心が川上で、川下の身体にきれいな水を流すことが最強の方法である、とお教え下さいました。
統一箴言は、人間の本来の面目、使命をお諭し下された誦句であるということです。人間はどんな場合にも自己を進化向上させていく大使命を与えられている。 使命を果たす為には、自分を霊魂という力の結晶であると自己認証し、その自己認証の程度を高く設定する。すなわち自分の言行で、人の心に喜びを与えるという霊性満足を生活目標とするということです。
天風先生は修行中にカリアッパ先生から、情け深い気持ちになれば天の声が聞こえると諭されたということでした。情け深い気持ちを持つと、執着がどんどん取れていき、気高い人間になれるということです。
自分が生かされている意味と、自分は多くの人に助けられて生きているという気付きを得る事が出来…。
頭上法では、その前の安定打坐で集中力が高まっているので、心地よい氣の送り出しと受け取りができました。 「頭上法では送り手が全て」 というお教え…。
物取りの実験。
宮井先生の「分からないとあせってはいけないし、かといって手に取ってまじまじと見つめ続けてもいけない。心を空にして落ち着いてきびきびと」というお教え…。
天風哲学を学んで実際にやってみて、心の考え思いがいかに身体に影響を及ぼすのかを実感することが出来ました。天風先生が良く言われるように、一瞬も気を緩めないで、考えること思うことを尊く強く・清く・正しくしなさいと言われているのが大事なんだと…。
奇跡の方は、誦句の「信念と奇跡」にあるように、いかに自分の潜勢力を信念出来るかだと思っています。
…天風哲学でもっと大事なのは、「世のため人のために尽くす人間になる」ことだと知りまし た。
「Q&H」のコーナーは、会員が疑問に思うことに対する回答ではなく、質問者自らが考える方向性や解決の糸口を見つける手助けをするという姿勢…。
誦句を読み返していると、以前は気がついていなかったことに気がつくことがある…。
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夏期修練会は一度行ったことがありますが、神戸会場はまだありません。4日間泊まり込みで行われる天風会最大のイベントです。東京でも開催されています。
参加料金は決して安くはないので、参加している人は皆さん本気です。志が高い人たちと交流できるのも魅力の一つです。運動法や誦句など詳しく教えてくれます。自分を高めたい方は、ぜひ参加してみては如何でしょうか?
『ニュートン式超図解 最強に面白い! 量子論』 監修 和田純夫
(株) ニュートンプレス 二〇二〇年刊行
「私がおすすめしたい、この一冊」
今川得之亮講師
…これからの世の中は、恐らく「半導体なしでは成り立たない」ことになっていくと思われますが、この半導体について語るには量子論がどうしても必要となってきます。
私が「この本を買おう」と決めたのは、「一三歳から読める決定版! 史上最高の量子論の入門書!」とのキャッチコピー、全編で一二五ページ、定価が九九〇円 (税込)の三点に加え、一つのテーマが左右見開きの二ページ(左ページに文、右ページに図または画)で簡潔に解説されていて、その気にさえなれば一日で読み終えることも可能なほどに、量子のことを簡単に学ぶには最適の本ゆえです。
「真理を悟った者の話を赤ん坊のような心になって聴けば、それは真理を悟ることと同じになる」という先生のお言葉…。
「これは」という言葉を見つけ出し、それについて静かに思量するのです。すると瞑想する中で様々な「気づき」があり、そこから講演や仕事上のアイデアが生まれたという具合です。
そこでこの実相を理性で理解しようとする時に役立つのが量子についての知識です。
一方で天風先生は、宇宙根源の実相について「気であり、エネルギーの素である」と説くと同時に、プランク定数h(別名・作用量子)でもあるとされています。尤もプランク定数hについては詳細に述べてはおられませんが、「気」「エネルギー」「定数h」となると、まさに量子の世界の話です。
例えば電子は宇宙空間に隈なく遍満存在していると説明されていますから、「活力吸収法の誦句」と結びつけたくなりますし、七十一ページには「梵我一如」という詞も出てくるといった具合にです。そして何より、私たちの心身の変化さえも量子が担っているのかと思うと、「実在はすれども見えない世界」への想いがますます膨らんでいくに違いありません。
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私は量子力学を学んだことがあるので、こういった内容のものはすんなり理解できます。我々人間も宇宙に漂う星々も、元をたどれば目に見えないものから出来ているのです。ただ小さ過ぎて見えていないだけです。存在はしているのです。
天風哲学で習う気やエネルギー、活力なども見えないけど、存在しています。そのエネルギーをたくさん受け取るには心身を統一させることです。
投稿原稿 「天風会での歩み」
藤本益久
当時四十代前半で、松下幸之助氏やナポレオン・ヒルなどの本を読み自己啓発に努めていましたが、天風先生の『成功の実現』には、今までにない強い感動を受け、このような強い心で生きるために、具体的なことを学びたいと思い入会を決めました。
…母を亡くして感じた「死なないいのち」という内容で、母が亡くなって母の身体はなくなっても、いつも母が近くにいる。時がたってもいつも近くにいる、ということをつづりました。 この母との繋がり結び目は、 宇宙霊との結び目と同じ、そのような内容でした。 その時に初めて霊魂、宇宙霊ということがわかってきました。
私は心身統一法を十年もやっていて、その実力は何段なのか?と時々考えるようになり、年数ばかりで一向に向上していない自分に気づき、これではいけないと思い、ようやく行修の日常化ということに真剣に取り組むようになりました。
特に安定打坐、クンバハカの日常化、朝礼、運動法の日常化に取り組むようにしました。同時にあらためて、 『真人生の探究』『研心抄』『錬心抄』『天風瞑想録』『安定打坐考抄』を何回も読み返しました。
朝起きてまず布団をたたみ、窓を開けプラナヤマ呼吸で活力を取り入れ、気功、呼吸法、養動法、安定打坐法を行います。毎日おこなっていると日のリズムが出来てきます。約一時間行います。
先ず養動法を十分、続いて安定打坐法を二十分ぐらい行います。安定打坐に入れば眉間に意識を集中するようにしています。打坐を行って五分ぐらいたつと、額が少し熱くなるのを感じることがあります。そして集中していると、無我一念法の時のような丸い太陽のような影が額に浮かんできます。そんな時、私は「宇宙霊と一体」と心で念じるようにしています。でもすぐ雑念が湧いて きます。そんなときは、再度「宇宙霊」と念じ、眉間に意識を集中します。そして「尊く、強く、正しく、清く」と数回念じ、あとは無心でブザーと鐘の音に集中する…。
天風先生は「眉間は命の窓といってよいほど大切な場所だ」といわれ、また「宇宙に隈なく存在する活力(ヴリル) は主に眉間から入って、一旦松果体に留まったのち、全身の神経系の原動力として配分される」と説明された、とありました。そのこともあり、眉間に意識を集中させるようにしました。
七十代になって安定打坐、観念要素の更改、プラナヤマ呼吸の実践を日常化するようになりまし た。特に安定打坐の日常化を行うようになってから、心身の安定と積極心が煥発され、ちょっとした気づきや局面がよい方向に向かうようになりました。
安定打坐を無心に行っていると信念が強くなり、ひらめきが出たり、念願、宿願が達成されてくるのではないかと感じています。
そして私にとって安定打坐の日常化は、信念を強くし、 状況を良い方向に向かわせてくれる人生の羅針盤のように思うようになりました。
私にとって信念が強くなるとは、「尊く、強く、正しく、 清く」の積極精神を絶対積極の心まで高めることであると信念しています。
信念を強くし煥発させるには、安定打坐法、観念要素の更改法、さらに心身統一法の日常化が極めて大切であるとあらためて感じています。
広岡達朗さんと藤平信一心身統一合気道二代目会長との対談集『人生の答え』で、広岡さんは次のような言葉を述べられいます。
九十歳を迎え過去を振り返って、「本当のことを学べるのは七十歳から。それだけの力が人間には備わっています。それを知らずに死ぬのはもったいないですよ。年齢を重ねることによって肉体の変化や精神の大切さもわかってきますから。監督やコーチは野球のことだけでは なく、食事や咀嚼のことまで勉強して選手に伝えるべきです」
「心身統一道に卒業はありませんよ」
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私も自己啓発が好きなので、入会の動機は似たところがあります。天風先生自身が体験し経験して来たことがベースとなっているので、本質をついていてとてもしっくり来るのです。
私も教えられたことをほぼ毎日やっていますが、まだまだ形だけのような気がします。ちょっと嫌なことがあるとすぐ消極的になってしまう。
本気で実践出来ていないなと思います。
形から入ることも大切ですが、やはり真剣味が重要です。初心の頃を思い出してやるのが一番です。
第50回 「教育プラクト」の集い (Zoom公開)のご案内
演者は5年前に乳がん発覚後、無治療を選択。 ステージ4まで進行するも、天風教義に出会い、心を積極に保つ生き方に取り組み始められました。 入会して8ヶ月後、 余命3日と宣告され緊急搬送されるが、そこで不思議な境地を味わう体験をされ、肺転移が自然消滅。 その後、様々な症状も、医師が当初本人に伝えた予想に反し、日を追うごとに改善していきました。医師団はこの不思議さに戸惑いを隠すことができず、困惑した話し声が病室の外の廊下から聞こえてきたと言います。
西洋医学に対抗し、天風哲学・心身統一法で、日々更新に向けて前へ前へといとなみ続けてきている心の強さは医師も舌を巻く程。
ご本人は「私のがんは敵ではなく、私に素晴らしい人生を与える為のメッセンジャーでした。それを本当の心の奥、潜在意識または魂から理解した瞬間を経験し、同時に、がんを愛している自分に気づきました」と仰る。
この貴重な体験と、 現在進行形の現実の日々の対応の仕方をお聞かせいただきます。
「遍く拓く、教育プラクト」
“繋がろう 響き合おう、関係性こそ力なり“
オンラインでこのようなイベントも開催されています。
病を克服したという事例は他にもたくさん聞いたことがあります。
天風哲学をきちんと実践していけば、病も運命も良くなっていく。
賛助会便り
静岡の会
研修科『神人冥合への・解説』感想文/石田俊一
まず、『神人冥合』の「神」についてです。天風会員として絶対間違えてはいけないこととして、宇宙の造物主を宗教的に人格神と捉えてはならないということです。そして、この「宇宙霊」の法則について、天風先生は 「進化」だけではなく、「向上」という点を強調されていることにも念を押されました。
また、『神人冥合』の「人」につい て、非常に分かり易くご教示頂きました。 「宇宙霊」を「太平洋の水」と捉え、生まれては消える「波」を「人」 と捉える。波は、いつかは消えるが、また、新しい波が生まれる。これを延々繰り返す。しかし、波をつくった水そのものは無くならず、これが「真我」に相当する。 真我とは「人の上で働く止まらない activity」 である、と解説頂きました。
我執を解脱し、安定打坐の境地になる。宇宙霊と一体となり、潜勢力を量多く受け入れる。大切なことは自分のエネルギーを、人のために使い、霊性満足の生活に入ることである…。
東京の会
「第二回研心セミナーに参加して」/松尾薫
私の好きなスティーブ・ ジョブズの言葉で、 「connecting the dots」(点と点をつなげる)がお話の中で出てきました。私たちが日ごろ経験している一つ一つの経験が良いこと悪いこと、意味がないようなことでも、振り返ってみれば一つの線につながっている。これからも、些細なことでも無駄にせずにやっていきたい…。
「霊性満足の生活は、自分の言行が世のため人のためになる。自分を活かしながら人の役に立つことで、気高い心に変移し、自分の心が純化し、自分の命を喜ばすことになる」…。
「素直さ」が縁を掴む上で大切。
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神と人間が1つになるというのは、宗教チックなところがありますが、中村天風財団は宗教法人ではありません。公益財団法人です。我々も元々は宇宙霊と一体だったのです。それが枝分かれしただけのこと。意識して修練すれば、いつでも神と一体になれるのです。一体になれば、病も煩悶もおさらばです。
故 福井一夫氏を偲ぶ
中村天風財団講師の福井一夫氏が令和四年七月十七日、満八十歳にて生涯を終えられました。
福井講師は、昭和三十年四月にご家族の紹介で入会し、 以後十二年間にわたり中村天風先生から直接ご指導を受けられました。
昭和五十五年に講師に就任し、全国各地で心身統一法の普及啓発に当たると共に、財団理事、評議員を歴任され、天風会の運営に多大な貢献をされました。
まずは天風先生ご存命中の輔導時代の思い出です。 表題にTheと付けたのは、輔導に要求される爽やかさと華やかさを兼ね備え、体操の指導や実験(箸切りやテレパシーなど)を完璧にこなせる輔導の理想的モデルと言えたからです。
福井さんの十九年間の闘病生活が始まりましたが、それを支え続けたのは奥様の喜久さんです。流石は天風先生直々に鍛えられたことだけはあって、私からみれば彼女の辞書には積極の二文字しか載っていないとしか思えず、その看病する姿勢には敬服するばかりでした。
———
残念ながら私は存じ上げませんが、天風先生に気に入られていたという方なので、天風哲学を実践出来ていた素晴らしい方なんだろうと思います。
心から、ご冥福をお祈りいたします。
中村天風財団公式ホームページ
天風哲学の入門書
『運命を拓く』中村天風
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